猫の泌尿器科

当院では、特に猫専門の泌尿器疾患の治療に力を注いで参りました。生活習慣等が原因となることも多く、また再発を繰り返すなど、苦しんでいる猫ちゃんのために少しでも役に立ちたいとの思いから、猫泌尿器専門外来を設けています。

他院で治療をしていて、セカンドオピニオンとして相談したいという方も大歓迎です。ご相談の場合は、時間をしっかりと設けるため、事前のご予約をお願いいたします。

猫の身体の仕組み

そもそも家猫の祖先は、砂漠地帯で暮らしていたリビアヤマネコです。そのため、猫の体は乾燥した環境でも水分を無駄なく利用できる仕組みになっています。腎臓はオシッコを濃縮する臓器です。猫はオシッコをできる限り濃縮するため、その腎臓には常に負担がかかります。

ですから、泌尿器系の病気は猫の宿命であり、すべての猫にかかるリスクがあるということです。「かかりやすい」ことが分かっているからこそ、日頃から気をつけて予防のためのケアをしてあげましょう。

腎臓は一度壊れてしまうと再生させることはできません。
つまり、猫の腎臓に負担をかけない生活を心がけて、腎臓へのダメージを抑えて機能を長持ちさせることが、かわいい愛猫の寿命を延ばすことにつながるのです。

猫の泌尿器系4大疾患

慢性腎不全

腎臓の機能が徐々に低下し、機能不全になった状態のことです。中年期~後年齢に多いとされています。

主な症状は初期は水をよく飲むことと、オシッコの量が増えることですが、次第に多尿にも関わらず、ミネラル類を尿中に排泄できず、体内に貯めてしまうので尿毒症になります。多飲でも多尿のため脱水をまねき、食欲が低下し、腎臓は血液をろ過したり、体内の水分と電解質を 調整したり、血圧を調節するホルモンを分泌する役割があるため、このように全身に様々な症状を呈します。

治療はできるだけ早く、治療を開始して腎臓の機能低下を抑えることです。慢性腎不全は一度発症すれば、治ることはありません。ですから、その進行をできるだけ抑え、症状の緩和が目的となります。主に、内科的治療と処方食などでの食事療法で緩和していきます。

慢性腎不全は他の病気から引き起こされることがあるため、定期的なワクチン接種や生活習慣などを見直して、予防することが大切です。さらに、年に一度~二度の尿検査や血液検査は欠かせません。

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尿路結石症(尿石症)

腎臓から尿管、膀胱、尿道の中に結晶や結石ができ、膀胱や尿道を傷付けたり、尿道に詰まったりします。

代表的な原因は、オシッコがアルカリ性に傾くとできる「ストルバイト」と酸性に傾くとできる「シュウ酸カルシウム」です。もともとあまり水を飲まず、濃いオシッコをすることやネコ自身の体質、食事や生活習慣も原因となることもあります。そして、肥満であることも影響します。

症状はトイレの回数が増える、頻繁に行くのに少ししか出ない、オシッコをする時に痛がって鳴く、血尿が出るなどです。

軽症であれば、結石を溶かすための投薬、処方食を用います。尿道に結石が詰まっていれば、カテーテルを入れて洗浄しますが、大きな石になっている時は手術で取り除く場合もあります。

再発しやすいので食事や生活習慣についての指導は必ず守ってください。

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尿道閉塞

結石などが尿道に詰まったり腫瘍などが尿道を圧迫して、オシッコが出にくくなったり、全く出なくなる病気です。

初期症状はトイレの回数が増える、オシッコが少ししか出ない、血尿が出るなどです。また、全くオシッコが出なくなると治療しなければ、数日で死に至るので、治療は一刻を争います。

症状はトイレの回数が増える、頻繁に行くのに少ししか出ない、オシッコをする時に痛がって鳴く、血尿が出るなどです。

尿石症が原因の場合が多く、尿石症予防のための生活習慣にすることが大切です。オスは尿道が細くカーブしている部分があり、メスよりも詰まりやすい傾向にあります。

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膀胱炎

膀胱に炎症が起こる病気です。

細菌や真菌等の感染や尿結晶などで膀胱粘膜が傷ついたりして起こります。季節の変わり目や、冬~春にかけて多い病気で、30~70%の猫が再発するとも言われています。近年、特発性膀胱炎が多く、発症理由は分からないことが多く、その多くはストレスによるものとされています。

考えられるストレスの原因は、

  • 多頭飼育
  • 生活環境の変化(家族が増える、引っ越しなど)
  • 突然のフードの変更

などが挙げられます。

症状は頻尿、排尿困難、血尿、尿が少ししか出ないなどで、ひどくなると腰やお腹を触診すると痛がったりします。
治療は原因に合わせて抗生物質などの投与になります。

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泌尿器科疾患の予防

水を飲ませる工夫をしましょう

水を飲ませる工夫をしましょう

与えるのは水道水で構いませんが、新鮮なものにしてください。また、複数の水飲みボウルを置くことも有効です。ミネラル分の多い湧水やミネラルウォーターは避けてください。そして、飲水量の減る冬季は特に配慮して水を与えてください。

ドライフードだけでなく、ウェットフードは食事から水分摂取できるので混ぜたりしても効果があります。

獣医師ワンポイントアドバイス

当院の猫であまり水を飲まない子がいましたが、少量のぬるま湯をフードにかけてあげていました。通称「お茶漬け」です(笑)。もし水を飲まない子の場合は、ぜひ試してみてください。

その他に注意すること

  • 肥満は大敵です。また、塩分の多い人間の食べ物もよくありません。元気で若いうちからフードやおやつには気をつけましょう。
  • 膀胱炎や尿石症は再発しやすい病気です。特に、食事療法を勧められたら、素人判断で中断または継続しないでください。また、使用する際も獣医師の指導の下にしてください。
  • 処方食は通常のフードよりは若干価格が高めですが、猫ちゃんの食べる量は限られています。また、病気になってしまうことで辛いのは猫ちゃんですし、治療費の方が高くつきます。病気になってからでは遅いのです。おうちの方は水分補給の工夫、良質のフード、ストレスのない生活環境にも配慮し、健康で長生きできるようにしましょう。
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